略歴:
国画会会員
1966年 信州木曽に生まれる
1985年 木工作家のもとで木工の修行をする
1989年 父、北原久のもとで漆の仕事を始める
1994年 第68回国展より出展し、以後第81回国展まで連続入選
1998年 第13回国民文化祭 大分市実行委員会会長賞受賞
1999年 第73回国展 国画会奨励賞受賞
2005年 第79回国展 国画会新人賞受賞
2006年 国画会準会員推挙
2009年 長野県工芸美術展 奨励賞受賞
2010年 長野県工芸美術展 市民タイムス賞受賞
2011 年 長野県工芸美術展 長野県知事賞受賞
2012 年 東京都美術館 都美セレクショングループ展公募第1回
「月火水木金土日 〜 想いを繋ぐ 〜」出展
2013 年 東京都美術館 都美セレクショングループ展公募第2回
「思い、巡る。」出展
2014 年 国画会会員推挙
漆工と木工の仕事をしていた祖父から幼少時に"ものづくり"の楽しさを教わり、釘と金づち、そしてノコギリがあれば何でも作れると思っていた進は、5歳になるころにはこれらの道具を用いていろいろな"もの"を木で作って遊んでいました。
そして独学で多彩な漆工技法を身に付けて作品作りをしている父、北原久の背中を見ながら成長するなかで、自然と木漆工芸(木工と漆芸)の道を志すようになりました。
1986年から1987年にかけて行われた、京都金閣寺の昭和大修復の際に漆工部主任を務めた父とともに金閣寺の修理にもたずさわった経験からは、妥協しない仕事の姿勢を学びました。
木工の仕事と漆の仕事は分業でおこなわれるのが通常ですが、進は挽物(ろくろ)、指物、刳物といった木地作り(木工)の仕事から漆の仕上げまでの全ての工程を一貫して自分の手で行い、自らデザインした作品をかたちにしていきます。
効率がものを言うこの時代にあって、その仕事のスタイルはとても効率が良いとは言えず、時代に逆行しているかのように思えるかもしれません。でもそんな時代だからこそ、大切な人たちと過ごすなにげない日々の暮らしを暖かく、やさしく彩り、安らぎを感じていただけるものを、コツコツとした手仕事で作っていきたいとの想いで日々仕事にむかっています。
木、漆、貝、麻布、錆土など、北原漆工房で作られる作品はすべて自然の恵みからできています。塗った漆を乾かすのもまた自然の力。温度・湿度によって乾く時間や仕上がりの色まで変わってきます。
木と向き合い、漆と向き合うという自然とのコミュニケーションのなかから作品が "貌-かたち-" を現した時、それを生み出す自分という存在もまた自然の一部であることを気づかされるのです。
木地作りから塗りの仕上げに至るまでの、全ての工程を自分の手で行うからこそ気づくこと、感じることがある・・・そんな気がするのです。