1939年、松本に生まれ、16歳の時に友人に誘われて訪れた木曽平沢で漆に魅せられて以来、漆工一筋に60年の道のりを歩んできました。

職人として誠実な仕事を積み上げてきた中で、1986年から1987年にかけて行われた京都金閣寺の昭和大修復の際には、漆工部主任を務めました。

その様子はNHKの「プロジェクトX 挑戦者たち　金閣再建 黄金天井に挑む」でも放映されました。

塗りの職人としての仕事をしながらも、堆朱彫や彫漆、そして螺鈿、蒟醤、蒔絵などのさまざまな技法を独学で身につけて自らの作品作りを始め、今ではそれらのさまざまな技法を駆使した独自のやり方で、独創性に富んだ作品作りをしています。

漆工の作業はさまざまな工程からなり、その工程ごとに分業化されているのが通常ですが、北原久は下地から上塗り、そして加飾までの全行程を自らの手で行い、堅牢で美しい作品を仕上げています。

華やかな作品をはじめとして根来仕上げのシンプルな作品まで、多彩な作品作りをしています。